今回は長野県箕輪町の長岡神社(ながおか-)について。
長岡神社は箕輪町の山際の高台の集落に鎮座しています。本殿は諏訪の立川流の棟梁・立川和四郎(初代)による造営で、神社建築としてめずらしい「二間社」という様式です。
現地情報
所在地 | 〒399-4602長野県上伊那郡箕輪町大字東箕輪長岡134(地図) |
アクセス | 伊那松島駅から徒歩40分 伊北ICから車で10分 |
駐車場 | 10台(無料) |
営業時間 | 随時 |
入場料 | 無料 |
社務所 | なし |
公式サイト | なし |
所要時間 | 15分程度 |
境内
境内入口
長岡神社の入り口。写真右に写っている寺院は長松寺。
境内は山の高台にあるため、鳥居の下で後ろを振り返ると、伊那谷の河岸段丘の景色がよく見えました。
二の鳥居は両部鳥居。扁額の文字は「八幡宮」。
もとは隣の長松寺の鎮守だったとのこと。
手水舎。水は出ておらず、蛇口をひねって出す方式でした。
拝殿
拝殿は標準的な銅板葺の入母屋(平入)。正面には千鳥破風と向唐破風(むこう からはふ)付き。
唐破風の向拝の軒下。
懸魚(げぎょ)には鳥、蟇股(かえるまた)には龍、木鼻には獅子と象の彫刻が施されています。
本殿
本殿は覆いがかかっていますが、覆いの壁は透明なので、格子の隙間から覗き込むことができます。
左正面から見た図。
母屋の柱は3本、つまり正面2間の二間社(にけんしゃ)です。二間社はたいてい2つの神が祀られており、相殿造(あいどのづくり)という別名もあります。屋根はおそらくこけら葺き。垂木の向きからして屋根の様式は流造(ながれづくり)です。
よって、この本殿はこけら葺きの二間社流造、正面軒唐破風(のき からはふ)付きです。
写真では見えにくいですが、蟇股や海老虹梁(えびこうりょう)には彫刻が施されており、立川流の面目躍如たる精緻さ。案内板も「立川流全盛期の代表作」と評しています。
正面は、階段と浜床の間にも彫刻があります。
縁側は壁と直行する切目縁(きれめえん)という張りかただったのですが、浜床(階段の下の床)は細長い板を普通に張っただけの造りでした。
左後方から見た図。
縁側の終端は脇障子になっています。母屋の丸柱は「床上は円柱だが床下は八角柱」というお馴染みの手抜きがなされています。
また、写真左端に写り込んでいる摂社の彫刻も見事。
最後に右側面の図。縁側の脇障子にも彫刻が施されています。
以上、長岡神社でした。
(訪問日2019/08/03)