今回は長野県辰野町の三輪神社(みわ-)について。
三輪神社は辰野駅のすぐ近くの線路沿いに鎮座しています。本殿は覆いがかけられていて見づらいですが、本殿のほかの社殿や社叢は立派な上、独特な社殿配置をしていて、それなりに見応えのある内容になっています。
現地情報
所在地 | 〒399-0421長野県上伊那郡辰野町大字辰野2100(地図) |
アクセス | 辰野駅から徒歩5分 伊北ICから車で10分 |
駐車場 | なし |
営業時間 | 随時 |
入場料 | 無料 |
社務所 | あり(要予約) |
公式サイト | なし |
所要時間 | 10分程度 |
境内
境内入口
辰野駅を出て、飯田線に沿って北のほう(川岸駅・岡谷駅方面)へ歩くと、すぐに社叢が見えてきます。写真は、踏切の上から撮った図。
ちなみに、この踏切は複線が1組(手前の2線)、引込線が1線(奥の線)通っていますが、引込線は神社の境内の前で途切れていて半端な長さです。仮にここに電車を停めようとしたら、踏切を塞いでしまいそう。
参道
踏切の心配はそこそこにして、社叢へ近づいて行くと鳥居の向こうに拝殿が見えます。
一見すると小さな境内に見えますが、拝殿や本殿の後方にも社叢が茂っていて、間口は小さいですが奥行きのある境内になっています。
拝殿
拝殿は標準的な銅板葺の入母屋(平入)。正面に千鳥破風(ちどりはふ)と軒唐破風(のき からはふ)付き。
案内板(辰野町教育委員会)によると大国主、タケミナカタ、スクナビコナ(少彦名)の3柱を祀っているとのこと。
千鳥破風・唐破風部分のアップ。
千鳥破風の妻には鬼(?)、唐破風の懸魚(げぎょ)には鶴(?)の意匠があしらわれています。
唐破風の上の鬼瓦についた紋は“三つ巴”。神社ではありふれた紋です。また、境内の石碑には、諏訪大社(タケミナカタ)の紋である“諏訪梶”もありました。
神楽殿
この神社のいちばんの見どころだと思うのが、神楽殿(あるいは舞屋)。
神楽殿は、拝殿の前か横に配置されるのが普通なのですが、三輪神社の神楽殿は拝殿の後ろにあります。つまり、拝殿-神楽殿-本殿という順に並んでいます。
そして向かって左側には、回廊が拝殿と神楽殿をつないでいます。拝殿の右手から側面
に回り込むと、写真のような中庭(?)のついた神楽殿が観察できます。
このような配置になっている神社は、私の知る限りでは他に例がありません。
神楽殿を側面から見た図。切妻を3つ組み合わせたような屋根形状です。
梁の上には彫刻が見られますが、それ以上に、柱の間隔が等間隔でない点が非常に個性的で印象深いです。
本殿
冒頭に書いたように本殿には覆いがかけられています。
これくらいなら覆いの隙間から観察できるのですが、周囲は板塀で囲われているため、覗き込むこともできず...
いちおう正面の向拝が唐破風になっているところだけは観察できました。
案内板によると本殿はこけら葺きで、隅木(すみき)入り一間社春日造(いっけんしゃ かすがづくり)。さほど珍しくない様式です。
木材はヒノキではなくケヤキ(欅)が使われており、1828年の建立とのこと。棟梁は立川流の小口直四郎。
覆いの隙間からどうにかして中を見ようとした図。
向拝と母屋をつなぐ海老虹梁(えびこうりょう)と縁側の手すり、そして奥行きの柱間が1間であることは辛うじて確認できました。
立川流の棟梁の手掛けた本殿が見えないのは残念ですが、本殿の情報について案内板である程度のフォローが入っている点は親切で、有難く感じました。
以上、三輪神社でした。
(訪問日2019/08/03)