世をひねる

甲信地方(山梨県と長野県)の寺院・神社建築を語る雑記。

【松本市】須々岐水神社 ~変種のススキが御神体?~

今回は長野県のマイナー観光地ということで、松本市の須々岐水神社(すすきがわ-)について。

 

須々岐水神社(須須岐水、薄川とも表記する)は松本城の2kmほど東に鎮座する神社です。「お船祭り」というお祭りに使う山車は長野県宝に指定されていますが、当記事ではいつもどおり境内の社殿の解説をメインに紹介していきます。

なお、千曲市には須須木水神社(すすきみず-)という神社がありますが、この神社とは特に関係ないようです。

 

現地情報

・所在地:

 〒390-0221
 長野県松本市里山辺薄町2785

・アクセス:

 松本駅から徒歩1時間程度

 松本ICから30分程度

・駐車場:10台分程度

・営業時間:随時

・入場料:無料

・社務所:なし

・滞在時間:10分程度

 

境内 

境内入口

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須々岐水神社の入口。2つ鳥居があり、額には「薄宮大社」とありました。

境内から少し距離を置いた場所には“薄川”(すすきがわ)という川が流れており、社名もここから来ているようです。

 

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社殿とは関係ないですが、鳥居のすぐ近くにあった倉庫。

こういった縦長で観音開きの戸がついた倉庫は、たいていが山車(だし)を納めるためのものです。

お祭りに使われる“お船”という山車は、高さ5m 横幅2.8m 奥行4.4mとのことなので、この倉庫の大きさとほぼ一致しています。この中にお船が納められているのでしょう。

なお、須々岐水神社のお船は全部で9つあるとのこと。このサイズの山車を9つも出すというのは、この神社や集落の規模を考えると、ものすごく豪勢だと思います。

 

境内社など

拝殿と本殿の前に、境内の細々としたネタの紹介から。

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こちらは社名不明の境内社。見世棚造りの神明造(しんめいづくり)です。

神明造というと、普通だったら正面3間 奥行2間ですが、この境内社は簡略化されて奥行1間となっています。

奥行1間だと、建物の外から棟を支える棟持柱(むなもちばしら)が浮いて見えるのは私だけでしょうか...?

 

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神楽殿(あるいは舞屋?)。こちらも、額には「薄宮大神」とありました。

 

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棟に「聖徳太子」と書かれた入母屋(妻入)の建物。「桜之宮」と言う名前らしいです。

詳細は不明ですが、菅江真澄の紀行文の須々岐水神社のくだりには、聖徳太子についての言及があるようです。

 

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御幣のついた縄で厳重に囲われている「片葉の薄(かたはのすすき)」。これを神社の御神体だとする資料もあるとのこと。

どう見ても普通のススキですが、どこが“片葉”なのかは謎。

 

拝殿と本殿

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拝殿。左のほうに写っている白っぽい木は、一之御柱です。

主祭神は薄川大明神という水神ですが、タケミナカタ(諏訪大社の祭神)とスサノオも合祀されています。

 

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本殿は隙のない板壁に囲われていてよく見えず、撮れたのはこんな写真だけでした...

銅板葺の一間社流造(いっけんしゃ ながれづくり)です。彫刻や組物がほぼない質素な造り。

一間社にしては大規模な部類になりますが、母屋の柱は角柱です。普通だったら円柱が使われる箇所に角柱が使われる理由は、私には及びもつきません。

 

社殿はかなりあっさりしたものでしたが、以上が須々岐水神社の境内になります。

ウェブで検索してもお船祭りに関する情報ばかりで本殿の様式が判らなかったので、気になって現地に赴いてみた次第でしたが、この様式にしては大規模な本殿を見られたので私としてはそこそこ満足です。

とはいえ、松本には他にも見応え抜群の神社が数多くあるので、お船祭りをやっていない時にわざわざここまで来るだけの価値があるのかと聞かれたら、なんとも言えない感じです。

 

以上、須々岐水神社でした。

(訪問日2019/06/22)