今回は愛知県岡崎市の菅生神社(すごう-)について。
菅生神社は岡崎の中心市街に鎮座しています。
創建は伝承によると景行天皇とヤマトタケルの時代にさかのぼるようで、市内最古の神社とのこと。境内は何度か移転しており、現在地に移ったのは明治期で、現在の社殿は戦後のものです。
現地情報
所在地 | 〒444-0052愛知県岡崎市康生町630-1(地図) |
アクセス | 東岡崎駅から徒歩10分 岡崎ICから車で10分 |
駐車場 | なし |
営業時間 | 随時 |
入場料 | 無料 |
社務所 | あり(要予約) |
公式サイト | 菅生神社-公式 |
所要時間 | 10分程度 |
境内
参道
菅生神社の境内は南向き。岡崎市内を流れる乙川に向かって立っています。
鳥居は石造の明神鳥居。扁額は「菅生神社」。貫には三つ巴が彫られています。
参道の右手には手水舎。桟瓦葺の切妻。
岡崎市を代表する神社のひとつのだけあって、手入れが行き届いています。
拝殿と本殿
拝殿は桟瓦葺の切妻。
内部にかけられている垂れ幕の紋は、花びらが5つある織田木瓜でした。意外にも三葉葵ではありません。
拝殿の後方には本殿と思しき社殿。
桟瓦葺の入母屋(平入)、正面に軒唐破風(のき からはふ)。
祭神はアマテラス、トヨウケ、スサノオのほか、天神と東照権現も祀られているようです。
神社本殿で瓦葺というのはめずらしいですが、観察してみると縁側がなくて本殿らしくない造り。私の予想だとこれは覆い屋で、内部に小さめの本殿が納められているのだと思います。
慰霊社
拝殿の右隣には慰霊社があります。拝殿と本殿(?)はあっさりした造りでしたが、こちらは彩色された彫刻があり、凝った造りをしています。
慰霊社は銅板葺の一間社流造(いっけんしゃ ながれづくり)。名前からして戦後にはじめて造られたものでしょう。
軒を支える向拝柱は、C面取りされた角柱。柱上の組物は連三斗(つれみつど)。
2本の向拝柱は虹梁(こうりょう)でつながれ、虹梁の上の中備えには「波に鴛鴦(おしどり)」の題材が彫られた蟇股(かえるまた)が配置されています。虹梁両端の木鼻は赤く彩色された唐獅子。
母屋(左)と向拝柱(右)は湾曲した海老虹梁でつながれています。海老虹梁は母屋の頭貫の高さから出て、向拝柱上の組物の高さに降りています。手挟はありません。
母屋の正面は両開きの板戸。扉の上の扁額の影に彩色された蟇股が見えますが、題材は不明。
母屋の頭貫の木鼻は拳鼻。柱上の組物は出三斗(でみつど)。
虹梁の上には笈形(おいがた)のついた束が立てられています。束は上端に赤い花びらのような意匠が付いたもの。束の両脇の笈形は、赤い枠の内部に緑色のツタの意匠が彫られています。
寺社の妻壁によくある「笈形付き大瓶束」とはちょっとちがった構成をしていて、少し風変わりだと思います。
破風板は赤く塗装され、拝みには懸魚(げぎょ)。軒裏は二軒(ふたのき)の繁垂木。
縁側は3面にまわされ、欄干は跳高欄(はねこうらん)、縁の下は縁束。
縁側の終端には脇障子が立てられ、彫刻がはめ込まれています。彫刻はやや退色が進んでいますが、梅らしき木に鳳凰がとまった構図。
以上、菅生神社でした。
(訪問日2020/09/12)