今回は岐阜県中津川市手賀野(てがの)の諏訪神社(すわ-)について。
諏訪神社は国道19号沿線の住宅地の奥にある山林の中に鎮座しています。
創建は1591年の太閤検地の折に稲荷が祀られたことに由来するようで、棟札によると1638年に諏訪大明神を合祀したとのこと。諏訪が主祭神になった時期は不明。社殿についてはあまり古いものには見えないですが、深い社叢の中にあるからか雰囲気はきわめて良好です。
現地情報
所在地 | 〒508-0015岐阜県中津川市手賀野723(地図) |
アクセス | 中津川駅から徒歩1時間 中津川ICから車で10分 |
駐車場 | なし |
営業時間 | 随時 |
入場料 | 無料 |
社務所 | なし |
公式サイト | なし |
所要時間 | 20分程度 |
境内
参道
諏訪神社の境内は南向き。
集落の中にある一の鳥居は石造の明神鳥居。扁額は「諏訪神社」。
左の社号標は「白幣社 諏訪神社」、右の社号標は「諏訪神社」。
ゆるい坂になった生活道路を数百メートルほど進むと集落の裏山のような場所に入り、社地の入口が現れます。
二の鳥居は石造の明神鳥居。扁額なし。
参道の石段。
手すりがつけられていたり草刈りをしっかりやっていたりと、非常によく整備されている様子。
石段を登るとようやく境内の中心部にたどり着きます。
三の鳥居は石造の神明鳥居。左は神楽殿。
社殿
神楽殿は桟瓦葺の寄棟。正面7間・側面3間。柱は角柱。
扁額の字は私の知識では判読できず。
境内の最奥部は一段高くなっており、本殿の前には壁のない拝殿。
拝殿は銅板葺の入母屋(妻入)。正面3間・側面3間。柱は角柱で、いずれの柱間も吹き放ち。
扁額は「諏訪神社」。
拝殿の内部は土間で、土足で侵入して本殿を真正面から見ることができます。
ちなみに直前に訪問した坂下神社や、直後に訪問した坂本神社諏訪社もこのような構造の拝殿になっていました。この地域の神社の特徴なのでしょうか...?
写真中央の梁に掲げられた額には、黒地に金色で諏訪梶の紋が描かれています。なお、諏訪梶はたいてい根が4本のものが使われるのですが、この扁額は根が5本ある諏訪大社下社(下諏訪町)の紋です。
本殿は銅板葺の三間社流造(さんけんしゃ ながれづくり)。正面3間・側面2間、向拝3間。
造営年代は不明ですが、屋根の形状や各所の意匠からして古いものには見えません。
祭神はタケミナカタ、保食神、誉田別命の3柱。
正面の軒先を支える向拝柱は几帳面取りの角柱。柱上の組物は出三斗(でみつど)。
向拝柱は虹梁(こうりょう)でつながれ、虹梁の端には雲状の木鼻。虹梁の上に置かれた蟇股(かえるまた)には、波の意匠が線状に彫られています。
向拝柱(左端)が角柱であるのに対し、母屋柱は円柱。両者はS字のなめらかな曲線を描く海老虹梁でつながれています。
この本殿には向拝柱が4本ありますが、左右両端の各1本には海老虹梁が、中央の2本には手挟がつけられています。
母屋柱の柱上は出三斗。柱間には向拝と同様の蟇股。頭貫の木鼻は雲状の拳鼻。
妻壁は比較的シンプルな造り。
妻虹梁は持出しされておらず、二重にもなっていません。虹梁の上には雲状の笈形(おいがた)のついた大瓶束(たいへいづか)。
縁側は切目縁が3面にまわされています。欄干は跳高欄。床下は縁束。
母屋柱は床下が八角柱になっていました。
また、背面の床下には扉のようなものがついており、鍵を開ければ床下に入れるようになっている様子。
以上、諏訪神社(手賀野)でした。
(訪問日2020/06/27)