甲信寺社宝鑑

甲信地方の寺院・神社建築を語る雑記。

【岡谷市】十五社神社(本町)

今回は長野県岡谷市本町(ほんちょう)の十五社神社(じゅうごしゃ-)について。

 

十五社神社(本町)は岡谷駅を出てすぐの場所に鎮座しています。

本殿は標準的な流造(ながれづくり)となっているのですが、普通の流造にはあまり見られない特徴を観察することができます。

 

現地情報

所在地 〒394-0028長野県岡谷市本町1-6(地図)
アクセス 岡谷駅から徒歩5分
岡谷ICから車で15分
駐車場 なし
営業時間 随時
入場料 無料
社務所 なし
公式サイト なし
所要時間 10分程度

 

境内

参道

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十五社神社の入口。岡谷駅の正面口を出て北へ向かってすぐの場所にあります。

写真左奥に茂っているのが社叢で、小さな境内なので拝殿がすでに少し見えています。

 

拝殿

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参道を進むと、神明造(しんめいづくり)を意識したデザインの拝殿があります。

正面に長く伸びた切妻の向拝が特徴的なシルエットを形作っています。

 

案内板によると、祭神はタケミナカタ(諏訪大社の主祭神)とその妻の八坂刀女、そしてその子の13柱。あわせて15柱の神を祀っているので十五社と言うとのこと。諏訪大社の系統に属するので、境内には御柱が立っています。

岡野屋十五社とも呼ばれていてもともとは村社でしたが、昭和9年に郷社に指定されたようです。岡野屋(おかのや)というのは岡谷の旧地名です。

 

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拝殿の右側には手水舎がありましたが、水は出ていませんでした。

 

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拝殿と本殿の右側面には、石垣のようになった場所に多数の摂社末社が鎮座しており、その全てに御柱が立てられていました。諏訪地域の神社ではしばしば見かける光景です。

 

本殿

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本殿は瑞垣に囲われていますが、前述の石垣に登ると楽に鑑賞できます。

銅板葺の一間社流造(いっけんしゃ ながれづくり)で、柱はいずれも角柱。彫刻や組物は見当たりません。

特徴的な点は、流造には珍しく棟に千木と鰹木が乗っていること。そして破風から4本並んだ棒が突き出ており、これは本来なら神明造の社殿に見られる鞭掛(むちかけ)という意匠。

 

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全体的に質素な造りですが、正面の階段の下には板が張られています(浜床と言う)。床板は壁面に直交する向きに張る“切目縁”(きれめえん)。なぜか階段の下だけ少々手の込んだ造りになっています。

 

以上、十五社神社(本町)でした。

(訪問日2019/07/06)