世をひねる

甲信地方(山梨県と長野県)の寺院・神社建築を語る雑記。

【山形村】清水寺 ~開基は奈良時代! 孤高の深山に佇む伽藍~

今回は長野県のマイナー観光地ということで、山形村の清水寺(きよみずでら)について。

 

清水寺は山形村の山中の非常に深い場所にあります。

寺伝によると行基が西暦729年に開基したと伝えられ、もともとこの寺にあった観音像を坂上田村麻呂が京都に移したのが清水寺(京都市)の由来だと言われています。つまるところ、京都の清水寺よりも古いということです。

本尊は京都のものと類似した様式の千手観音(十一面)で、今回はその前立を拝むことができました。

 

 

現地情報

・所在地:

 〒390-1301

 長野県東筑摩郡山形村7764

・アクセス:

 上高地線波田駅から徒歩2時間程度

 塩尻北ICから車で30分程度

・駐車場:20台程度(無料)

・営業時間:随時

・入場料:無料

・寺務所:あり(要予約)

・滞在時間:20分程度

 

補足事項

冒頭に書いたように山奥の深い場所に位置しており、交通機関もないようなので基本的に自家用車で来ることになります。

なお、wikipediaによると“車載のナビに頼ると、通行が困難な旧道に案内されることも多い”とのことで、私はそれを知らずにナビに頼って行った結果、すれ違いもできない上に転落の恐れもある旧道を登る羽目に遭いました。幸い私は無事でしたが、皆様はくれぐれもご注意ください!

 

境内

参道

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駐車場で車から降りてまず目についたのは、写真の仁王門。

仁王像が安置されていますが、傷みが目立ちます。

 

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参道の脇には石仏が立ち並んでいます。「百体観音」とのこと。

 

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手水。山奥のほとんど人気のない寺ですが、手水はよく手入れされているようで、しっかりと水が出ていました。

 

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楼門。扁額には山号「慈眼山」(じげんさん)とありました。

 

本堂

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そしてこちらが本堂。写真左に見切れているのは“行基桜”なるしだれ桜。

本堂は銅板葺の寄棟(妻入)で、正面に向唐破風(むこう からはふ)の向拝付き。

全体的に白を基調とし、青を入れた独特の配色になっています。こういった配色の寺院・神社は見たことがないです。

また、賽銭箱の紐の上には、寺院なのに鰐口ではなく鈴が吊るされています。

ちょうど折よく管理者の方(住職はいないらしい)が居て、彼いわく「寺か神社か分らず混乱してうっかり柏手を打ってしまう人も少なくない」とのこと。

 

せっかくここまで来たのですし、と管理者の方のご厚意により、本堂の内部も見せてもらえました。とはいえ、堂内は薄暗く、多数の仏像があったのでフラッシュ撮影はさすがに自重。

内部の様子をテキストで説明すると、堂内に入るとまず外陣があり、格子戸を開けて高い敷居をまたぐと内陣があります。内陣の最奥には高さ1メートルを越える大きな厨子(ずし)があり、中の千手観音は年に1度だけ公開される秘仏になっています。

秘仏の千手観音は、寺伝によると行基の作。御開帳は毎年の八十八夜の日(5月2日、閏年の場合は1日)で、村内の人や僧職者が大勢来ますが、一般の訪問者が拝むための時間も設けているとのこと。

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写真は堂内の厨子の前に置かれていた“前立本尊”。案内板(山形村清水寺保存会)に掲載されていた写真を撮ってきたものです。

背中から長く伸ばした手を、頭の上で組んでいるのが特徴的。こういった千手観音を「清水寺型」と言い、京都の清水寺の本尊もこのような様式になっているとのこと。

この前立本尊のほか、堂内には大日如来の座像や釈迦三尊像などの仏像がありました。

 

境内については以上。

この日は運よく管理者の方と居合わせたので、御開帳のときの様子や、檀家のない山奥の寺で壮絶な暮らしをしていたご住職たちの苦労などなど、貴重なお話を伺えました。旧道から登って行ってしまったため道中は大変でしたが、この険しい道を登って来て良かったと思える内容でした。

 

以上、清水寺でした。

(訪問日2019/07/20)