甲信寺社宝鑑

甲信地方の寺院・神社建築を語る雑記。

【松本市】渚大神社

今回は長野県松本市の渚大神社(なぎさ だい-)について。

 

渚大神社の鎮座する場所は、国道19号線と158号線が交差する場所のすぐ近くです。それなりに大きい神社なのですが、ほとんどの人が存在に気づくこともなく車で素通りします。かく言う私もその1人で、幾度となくこの神社の脇を素通りしていました。

 

現地情報

所在地 〒390-0841長野県松本市渚3-1-19(地図)
アクセス 松本駅または渚駅から徒歩10分
松本ICから車で5分
駐車場 なし
営業時間 随時
入場料 無料
社務所 なし
公式サイト なし
所要時間 10分程度

  

境内 

境内入口

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境内の正面(東側)の両部鳥居。

松本市街は、駅と城の間は観光客が多くてにぎやかですが、こちらは駅のアルプス口(裏口といって差し支えない)のほうなので、閑静な住宅街といった雰囲気です。

 

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手水舎。石の鉢に書かれた紋は“諏訪梶”。根が4つなので諏訪大社上社の紋になります。

境内は平坦な市街地の中なのですが、しっかりと水がでています。

 

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手水舎の前を通り過ぎると、参道が途中で右に折れ曲がっています。

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曲がらずに進むと本殿の跡地を示す石碑がありました。

松本城の南西約1kmほどの場所に立地し、境内は東西に伸びているので「城のほうを向いていた?」と予感したのですが、地図を確認したところ全くの見当外れでした。

 

拝殿・鞘殿

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拝殿は銅板葺の入母屋(平入)。正面は向拝付き。平成四年の造営とのこと。

 

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拝殿の後方には、奥行き1間の切妻(平入)がついており、あまり見かけない構造をしています。

 

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こちらの写真左側が本殿、と言いたいところですが、案内板によるとこれは“鞘殿”(さやでん)とのこと。

要するに、この写真の建物は本殿を保護するための覆いだということです。拝殿のうしろにあるからといって、それが本殿とは限らないわけです。

この内部に納められているという本殿は1847年の造営のようですが、神社としてはかなり新しい部類に入ります。なお、祭神は諏訪の系統なので、タケミナカタです。

 

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後方から見た鞘殿。

間口が3間ありますが、本殿ではないので“三間社”と呼ぶのは適当ではないでしょう。

また、屋根が前後対称の造りをしているうえ、垂木が二重になっていないあたり、これはただの切妻造りでしょう。

“三間社流造”と書きたくなってしまう社殿ですが、三間社ではないし流造でもないです。敢えて言うなら「間口3間、奥行2間の切妻(平入)」と言うのが正確でしょう。

 

以上、渚大神社でした。

(訪問日2019/06/22)