甲信寺社宝鑑

甲信地方の寺院・神社建築を語る雑記。

【盛岡市】住吉神社

今回は岩手県盛岡市の住吉神社(すみよし-)について。

 

住吉神社は盛岡市街の東部に鎮座しています。

創建は社伝によると康平年間(1058-1064)。源頼義によって住吉大社(大阪市)から勧請されたのがはじまりとのこと。当初は同市厨川にあったようですが、1795年(寛政七年)に現在地へ遷座しました。江戸時代を通して、領主の南部氏から崇敬を受けています。

現在の境内は江戸後期以降に整備されたもので、本殿も同時期の造営と思われます。

 

現地情報

所在地 〒020-0882岩手県盛岡市住吉町9-1(地図)
アクセス 上盛岡駅から徒歩30分
盛岡ICから車で20分
駐車場 5台(無料)
営業時間 随時
入場料 無料
社務所 あり(要予約)
公式サイト 盛岡市住吉神社の公式オフィシャルサイト
所要時間 10分程度

 

境内

参道

住吉神社の境内は西向き。境内は市街地の交差点に面しています。

入口には木造の明神鳥居。笠木の上に屋根が乗り、重層的な造り。扁額は「住吉神社」。

鳥居の右の社号標は「住吉神社」。

 

二の鳥居は木造の明神鳥居。笠木と島木がまっすぐな形状。扁額は「住吉神社」。

 

三の鳥居。石造の明神鳥居で、扁額は「住吉神社」。

 

参道右手には手水舎。

切妻、銅板葺。

 

柱は角面取り。

虹梁には象鼻のような木鼻がついています。

 

拝殿は平入の切妻と妻入の切妻を組み合わせたもの。屋根は銅板葺。

低い平入の屋根の軒先が中央で途切れていて、その上に妻入りの屋根が乗っています。

 

中央の妻入りの部分。扁額は「住吉神社」。

破風板には懸魚が下がり、妻飾りは豕扠首。古風な意匠で、本社の住吉大社にある住吉造の本殿を意識したと思われます。

 

拝殿の右側面。

後方には幣殿と思しき社殿がつづき、接続部は屋根を折り曲げて処理しています。

 

本殿

拝殿の後方には、鉄骨の覆いがかかった本殿が鎮座しています。

桁行1間・梁間2間、一間社流造、正面軒唐破風付、こけら葺。

造営年不明。

祭神は住吉三神と神功皇后。

 

向拝は1間。虹梁に掲げられた扁額は、右横書きで「住吉神社」。

 

向拝柱は几帳面取り角柱。正面に唐獅子、側面に獏の彫刻。

柱上の組物は連三斗。その内側(写真右)には、大瓶束と出三斗を融合させた形状の部材が使われています。

 

向拝柱の組物の上には、菊が篭彫りされた手挟。

海老虹梁の向拝側は虹梁の位置から出て、下部を木鼻と巻斗で持ち送りされています。母屋側は頭貫の位置に取り付いています。

 

母屋の正面は1間で、桟唐戸が立てつけられています。

縁側の欄干は擬宝珠付き。

 

正面の階段の下の羽目板には、唐草の絵様が彫られています。

縁側は切目縁で、床下は三手先の腰組。

母屋柱の床下は八角柱になっています。

 

母屋の側面は2間。

柱は円柱。柱の中腹にも貫と長押が使われています。

縁側は背面にもまわされていますが、側面後方に脇障子を立ててふさがれています。

 

頭貫木鼻は象鼻。柱上には台輪がまわされています。

組物は木鼻の入った出組。中備えは蟇股。

妻飾りは笈形付き大瓶束。

 

大棟には千木と鰹木。

千木は部材が長方形に開口され、先端が水平にカットされています。

 

以上、住吉神社でした。

(訪問日2022/04/17)