甲信寺社宝鑑

甲信地方の寺院・神社建築を語る雑記。

【上田市】安曽神社

今回は長野県上田市の安曽神社(あそ-)について。

 

安曽神社は塩田平の南東部にある田園地帯の集落に鎮座しています。

創建は不明で、社伝によれば860年ごろに再建されているとのこと。境内は、信州の神社ではめずらしい楼門があるほか、本殿は江戸中期の三間社となっています。

 

現地情報

所在地 〒386-1213長野県上田市古安曽1500(地図)
アクセス 下之郷駅から徒歩30分
上田菅平ICから車で30分
駐車場 3台(無料)
営業時間 随時
入場料 無料
社務所 なし
公式サイト なし
所要時間 10分程度

 

境内

随神門(楼門)

安曽神社鳥居

安曽神社の境内は東向き。

入口の鳥居は銅板でカバーされた両部鳥居。扁額は「安曽神社」。

 

安曽神社随神門

随神門は桟瓦葺の入母屋。正面3間・側面2間。柱は1階部分が角柱、2階部分は円柱。三間一戸の八脚楼門。

案内板(設置者不明)によると1824年(文政7年)の造営

 

随神門1階

1階の柱はC面取りされた角柱。

柱間には虹梁(こうりょう)がわたされ、中央の柱間の中備えには梶の葉の彫刻が置かれています。梶の葉は諏訪系の神社の紋です。

 

随神門木鼻

角部の木鼻は象鼻。あまり立体的な造形ではありませんが、はっきりと象の形をしています。

柱上に組物はなく、桁の上から伸ばした腕木で2階の縁側を受けています。

 

随神門2階

2階部分。柱は円柱。軒裏は二軒(ふたのき)の繁垂木で、放射状に延びた扇垂木になっています。

中央の扉は両開きの板戸。欄干は擬宝珠付き。

 

随神門軒下

柱上の組物は出組になっていますが、持ち出された桁は平三斗ではなく実肘木(さねひじき)で受けていて、組物が簡素化されています。

組物と組物のあいだには蓑束。頭貫の木鼻は雲状の拳鼻。

 

拝殿と本殿

安曽神社拝殿

随神門の先には拝殿があります。拝殿は桟瓦葺の切妻。

左右に低い切妻の屋根がつながっており、諏訪造をほうふつとさせる構造。

 

安曽神社本殿

拝殿の後方には板塀に囲われた本殿が鎮座しています。

本殿は銅板葺の三間社流造(さんけんしゃ ながれづくり)。正面3間・側面2間、向拝1間。

案内板(設置者不明)によると、棟札より1714年(正徳4年)の再建

 

祭神は大国主、タケミナカタ、八坂刀女。いずれも諏訪神です。

大棟には外削ぎの千木と、5本の鰹木。大棟の全面と鬼板には諏訪梶の紋。

 

安曽神社本殿

正面右側。

通路や庇の屋根のせいでよく見えないですが、母屋には3組の板戸が立てつけられていることと、正面の軒先は2本の柱で支えられていて向拝1間であることが確認できます。

 

本殿側面

本殿の周囲には、縁側を保護するためと思しき庇がついています。

縁側は切目縁(きれめえん)が正面と左右の計3面にまわされていて、背面側をふさぐ脇障子はない様子。

縁側の欄干は跳高欄。床下は縁束で支えられています。

母屋柱の床下は、八角柱に成形されていました。

 

本殿向拝

反対の左側面(南面)から見た図。

破風板には菊の意匠の桁隠しが取り付けられ、軒裏には牡丹の意匠が籠彫りされた手挟(たばさみ)が見えます。

 

本殿妻壁

母屋の頭貫の上には蟇股(かえるまた)。

柱上の組物は持出しのない三斗で、妻虹梁の上では笈形(おいがた)付き大瓶束(たいへいづか)が棟を受けています。笈形は竜と波を融合させたような造形。

 

本殿背面

背面。細部の意匠は側面と同様。

頭貫の木鼻は拳鼻。

 

境内社

安曽神社境内社

拝殿の隣には石上布留社。鉄板葺で見世棚造の流造。

案内板によると、この近辺は鎌倉期まで石上布留社の境内だったとのこと。

石上(石神)というと諏訪のミシャグジ信仰を連想させる名前ですが、関連性については不明。

 

以上、安曽神社でした。

(訪問日2020/08/01)

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