今回は山梨県北杜市の穂見諏訪十五所神社(ほみ すわ じゅうごしょ-)について。
穂見諏訪十五所神社は長坂町の住宅地の山際に鎮座しています。
蓮池のある独特な参道のほか、江戸中期に造られたという中規模の本殿を見ることができ、小粒ながら良質な見どころが多数ある境内となっています。
現地情報
所在地 | 〒408-0021山梨県北杜市長坂町長坂上条1461(地図) |
アクセス | 長坂駅から徒歩15分 長坂ICから車で10分 |
駐車場 | 10台(無料) |
営業時間 | 随時 |
入場料 | 無料 |
社務所 | あり(要予約) |
公式サイト | なし |
所要時間 | 10分程度 |
境内
参道
穂見諏訪十五所神社の境内は南向きで、入口にはやや背の低い石鳥居が立っています。
社号標には「郷社 穂見 諏訪 十五所 神社」。鳥居の扁額には「正一位 穂見大明神 諏方大明神 十五■(※1字判読不能)大明神」とありました。
鳥居の先にはコンクリートの橋と随神門があります。橋の下は蓮池なのですが、訪問時は水が抜かれていました。
随神門は鉄板葺の切妻(平入)。正面1間・側面2間・背面3間で、正面側は壁のない吹き放ちとなっています。柱は角柱。
随神門をくぐると、左手には本殿についての案内板と、甲州名物・丸石神があります。
参道の右側には長坂町(現 北杜市)天然記念物の大ケヤキと、手水舎(右端に見切れています)があります。
大ケヤキは夫婦ケヤキとも呼ばれていたようですが、ご覧のように半ば枯れかけの状態となっています。
拝殿は鉄板葺の入母屋(平入)、向拝1間。柱はいずれも角柱。
拝殿の左側には橋でつながった神楽殿があります。
神楽殿は鉄板葺の入母屋(平入?)で、正面・側面ともに1間。柱は角柱。
本殿
階段を登った先には、金網の覆いがかかった本殿が鎮座しています。
本殿は銅板葺の三間社流造(さんけんしゃ ながれづくり)で正面3間・側面2間、向拝1間。母屋は円柱、向拝は角柱。
祭神については案内板に解説がないですが、社名から推測するにウカノミタマ(倉稲魂命)、タケミナカタ、そしてタケミナカタの御子神たち(あるいはスサノオ?)といったところでしょう。
正面右側からの図。
階段を覆う庇を支える柱(向拝柱)は、面取りされた角柱。
向拝柱をつなぐ梁の上には組物と彫刻のある蟇股(かえるまた)が、梁の両端には象の彫刻の木鼻が配置されています。
右側面の妻壁。
丸柱の上には平三斗(ひらみつど)というタイプの組物があり、組物で持ち出された梁の上では大瓶束(たいへいづか)が棟を受けています。
また、柱と柱をつなぐ貫の上には蟇股、その上には支輪も見えます。
右側面の縁側。
縁側は正面と左右側面に巡らされています。欄干はやや傷みが目立ちます。
縁側の終端に立てられた脇障子には波と思われる彫刻が配置されており、退色が進んでいるものの派手に彩色されています。
背面。
柱をよく見ると「床上は円柱だが床下は八角柱」という手抜きがなされています。
こちら側は日が当たらないからなのかほとんど傷みがなく、木材がきれいな状態です。
建造年代については、案内板(長坂町教育委員会)によると“江戸中期のものと推定”とのこと。
以上、穂見諏訪十五所神社でした。
(訪問日2019/12/17)