今回は長野県茅野市の三輪神社(みわ-)などについて。
三輪神社は茅野市の市街地の国道20号沿いに鎮座しています。
境内は非常に小規模ではありますが、大隅流の彫刻に満たされた本殿を見ることができます。
現地情報
所在地 | 〒391-0013長野県茅野市宮川4433(地図) |
アクセス | 茅野駅から徒歩10分 諏訪ICから車で10分 |
駐車場 | 5台(無料) |
営業時間 | 随時 |
入場料 | 無料 |
社務所 | なし |
公式サイト | なし |
所要時間 | 10分程度 |
境内
三輪神社拝殿
こちらが三輪神社の境内の全景。社殿と言えるのは拝殿と覆いのかかった本殿くらいで、シンプルな内容。
三輪なので諏訪大社とはとくに関係ないと思われますが、境内には御柱が立てられています。この地域では稲荷にまで御柱を立ててしまうので、そこまで驚くことではないでしょう。
拝殿は銅板葺の唐破風屋根で、正面と左右が吹き放ち。同市内の田沢稲荷の拝殿とよく似ています。
唐破風の中心から垂れ下がる懸魚(兎毛通)には鶴の彫刻、虹梁の上には蟇股(かえるまた)が配置されています。扁額は「三輪社」。
拝殿の内部。天井は格天井になっています。
正面と左右の梁・桁の上には蟇股だけが置かれていますが、内部の奥は蟇股の左右に草木の彫刻も配置されています。
三輪神社本殿
本殿には覆いが掛けられていますが格子になっているので、隙間から覗き込むことができます。
本殿は屋根の素材がわかりませんが一間社流造(いっけんしゃ ながれづくり)で、正面に軒唐破風(のき からはふ)付き。軒唐破風のついた流造は、この地域の神社や立川流・大隅流の造営でよく見かけます。
案内板(茅野市教育委員会)によると年代は1804年、「大隅流の流れをくむ矢崎玖右衛門の代表作」とのこと。
写真は本殿の右側面。南側です。
壁面の彫刻は「玄徳 赤兎馬に鞭打って潭渓を越ゆる」。赤兎馬といったら関羽だと思うのですが、三国志にこんなシーンあったでしょうか? 検索してみてもそれらしいものが見つかりません。
縁側の床下は四手先の組物で支えられており、縁の下にまで彫刻が配置されています。
背面(東側)。格子が邪魔で見づらいですが、背面にまで縁側が巡らされています。
壁面の彫刻は「黄石公 張良に兵書を授くる」で、こちらは前漢の物語。三国志とはちょっと時代がちがいます。
左側面(北側)。
正面向拝と母屋をつなぐ海老虹梁(繋ぎ虹梁とも)には龍の彫刻。梁は三手先に持出しされていました。
壁面の彫刻は「蜀の三傑 桃園に義を結ぶ」。三国志の名場面として著名な「桃園の誓い」です。
三輪神社については以上。
近辺の神社
鈿女神社
三輪神社とはす向かいの位置には鈿女神社(おかめ-)が建っています。
祭神は文字通りアメノウズメ(天鈿女命)ですが、社名の読みは「うずめ」ではなく「おかめ」とのこと(宮川商業界 宮川街づくり協議会の案内板より)。
周辺は公園として整備されており、参道の左手にはレトロな手押し式ポンプの手水(というよりはただの井戸)があって公園の手洗いを兼ねています。
社殿は見てのとおり新しいもので、内部にもとくにこれといったものは無いです。しかし、諏訪大社とはぜんぜん関係なさそうなのに御柱が立てられていて、いかにも諏訪地域らしいです。
伊藤祝神社
鈿女神社と隣接する場所にも小規模な神社が鎮座しています。社名は伊藤祝神社(いとうほうり?-)。
拝殿はなく、覆いの中に小ぶりな本殿があります。
本殿はこけら葺きの一間社流造。正面は軒唐破風付き。前述の三輪神社本殿と同じ様式です。
虹梁の木鼻には小さいながら唐獅子と象の木鼻もついており、全体的に立川流や大隅流っぽい造り。
左側面。
祠とでも言ったほうが適切かもしれないレベルの規模ですが、縁側や欄干まで備えており、祠にしては手が込んでいます。
以上、三輪神社とその近辺の神社でした。
(訪問日2019/10/13)