甲信寺社宝鑑

甲信地方の寺院・神社建築を語る雑記。

【飛騨市】気多若宮神社と白壁土蔵街 ~古川の小ネタ特集~

今回は岐阜県の観光地ということで、飛騨市の気多若宮神社(けたわかみや-)と古川の白壁土蔵街(ふるかわ-しろかべどぞうがい)などについて。

 

気多若宮神社は飛騨市古川の北側の山際に鎮座しており、映画『君の名は』の舞台のモデルにもなったからか、ここ数年、人気が急上昇しているようです。

古川の白壁土蔵街については、江戸期の風流で落ち着きのある街並みが残されており、にぎやかな隣町の高山とはちがった風情を楽しむことができます。

この2件は徒歩でも無理なく周れますが、今回は折りたたみ自転車(DAHON K3)を利用して散策してみました。当記事は小ネタの寄せ集めで、いつにも増して雑な解説になりますがご了承ください

 

 

現地情報(気多若宮神社)

所在地 〒509-4212岐阜県飛騨市古川町上気多1297(地図)
アクセス

飛騨古川駅から徒歩15分

飛騨清見ICから車で30分

駐車場 5台(無料) ※飛騨古川駅北側に大型の無料駐車場あり
営業時間 随時
入場料 無料
社務所 あり
公式サイト なし
所要時間 15分程度

 

気多若宮神社

参道

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気多若宮神社は真っすぐな目抜き通りの終点に大きな鳥居が立っているので、見逃すことはまずないでしょう。扁額は「気多若宮神社」。文字通り、能登国一宮の気多大社から分霊してきたことが由来のようです。

飛騨古川駅の北側に駐車し、車から降ろした自転車に乗り換えて5分足らずで気多若宮神社に到着。ここからは徒歩で登っていきます。

いちおう断っておきますが、写真に写っているのは私の自転車ではありません!

 

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参道に入ると、玉垣と石垣に挟まれた階段が100メートルくらいつづき、二の鳥居があります。扁額は「多若宮神社」

 

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階段がおわると参道は左に90°折れ曲がり、拝殿の前に出ます。写真左は手水舎、右は社務所。

 

社殿

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拝殿は銅板葺の入母屋(妻入)。

入母屋の建物の左右側面に、切妻屋根の小屋(?)が付くという形式になっています。甲信地方では見かけない形式ですが、阿多由太神社をはじめ近隣の神社の拝殿はこれと似たものが多くありました。飛騨地方の拝殿の特色なのでしょうか...?

 

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それでは本殿の解説を... と行きたいところなのですが、本殿は隙のない板塀で覆われており、しかも本殿の向拝も建具で完全に覆われていて、まるで私の解説を遠回しに拒否しているかのよう...!

いちおう判る範囲で解説しておくと、この本殿は銅板葺の流造で、たぶん三間社です。解説は以上。飛騨地方の神社はこんな感じのところばかりで、途中で観光を切り上げて帰りたくなってきたのは内緒です...

あと、『君の名は』については未視聴なので、特に語れることはないです。こんな体たらくでよく記事にしようと思ったな、というツッコミが怖いですが、当ブログはほとんど見る人が居ない零細だからたぶん誰も突っ込まないだろうと踏んでいるのも内緒です...

 

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最後に境内社。両者とも銅板葺の一間社流造です。

右側の社殿の棟には梅と思しき紋があったので「天神(菅原道真)かな?」と思ったのですが、後述の金森氏の紋のようです。

 

増島城跡(ますしまじょう あと)

〒509-4222岐阜県飛騨市古川町片原町8-35(地図)

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気多若宮神社の参拝を終えて古川の白壁土蔵街へ向かっていると、神社の社叢っぽい木立が町中に見えたので寄り道してみたところ、立派な石垣と堀が残った城跡を見つけました。

これは飛騨の平定を成し遂げ、統治を任された織田家家臣・金森長近(かなもり ながちか)が築き、嫡子・可重が城主を務めた増島城の城跡。案内板(飛騨市教育委員会)によると“飛騨地域で最大級の高さを誇る”石垣だそうで、1615年に城としての役目を終え、金森氏の転封から3年後の1695年に破却されたとのこと。

 

日本の城郭には神社があるのが相場だし、遠目に見ても脇障子(わきしょうじ)、舟肘木(ふなひじき)、鞭掛(むちかけ)といった神社建築に特有の意匠が見えたので、これは神社と断定してよさそうです。

しかし、日本の城郭は跡地が学校になるのも相場で、城内に入るには小学校のグラウンドを突っ切る必要があり、ちょうど少年野球の練習が行われている最中だったのもあって入城は断念。変な自転車に乗った不審な男が小学校に不法侵入だなんて、110番の事案ですよね!

 

古川の白壁土蔵街

〒509-4224岐阜県飛騨市古川町殿町8(地図)

古川の白壁土蔵街は、江戸期の面影を残す町並みが東西に伸びるように広がっています。市の中心地である飛騨古川駅のほうから入るのが順路と思われますが、今回は末端側から土蔵街に入りました。

 

弁財天堂

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写真は土蔵街の端に鎮座する弁財天堂。

琵琶は触ったこともないので詳しくは解らないのですが、左手を見ると1本の弦を4つの指で押さえるという有り得ない押さえかたをしていたので、たぶん演奏中の場面ではないと推測できます(適当)。

 

白壁土蔵の街並み

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白壁土蔵街は、柳の並木に沿って川が流れており、統一感ある和風の街並みも相まって非常に風流。混じり気のない白の土壁が並んだ光景は、清楚かつ清涼な印象を受けます。前日の雨で濁っていますが、川にはコイが泳いでいて、これまた涼しげ。

こういう良い感じの街並みに入ったら、下車して押しながらゆっくり歩くことができるのも自転車の強みです。

 

雑多で喧騒の絶えない高山に対し、こちら古川は人影もまばらで川のせせらぎが聞こえるほどの静けさ。良くも悪くも商売っ気がないので好みが分かれるところですが、高山よりもこちらのほうが落ち着きがあり、自分のペースで風情を味わえる余裕がある点がとても良いです。

飛騨というと高山や白川郷ばかりが注目されますが、あまり目立たない古川も引けを取らない魅力があると思います。

きれいにまとまったところで今回は終了。

 

以上、飛騨市古川の小ネタ特集でした。

(訪問日2019/08/31)