世をひねる

甲信地方(山梨県と長野県)の寺院・神社建築を語る雑記。

【松本市】三神社(波田) ~諏訪大社を彷彿とさせる拝殿の裏には~

今回は長野県のマイナー観光地ということで、松本市波田の三神社(さん-)について。

 

三神社は松本市から上高地へ向かう途中の道沿いに鎮座しています。それなりの広さの社叢がうっそうと茂っているので、見逃すことはまずないでしょう。

社殿も広い社叢に見劣りしない内容で、村の鎮守といったポジションの神社ですが、なかなかに見応えがあります。

 

 

現地情報

・所在地:

 〒390-1401

 長野県松本市波田森口1909

・アクセス:

 上高地線森口駅から徒歩5分程度

 松本ICから車で10分程度

・駐車場:5台程度(無料)

・営業時間:随時

・入場料:無料

・社務所:あり(要予約)

・滞在時間:10分程度

 

境内

参道

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境内入口。鳥居の扁額には「三社宮」とありました。笠木には、扁額のための庇もついています。

 

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参道、と言っていいのか解らない境内を進むと神楽殿があります。神楽殿の中には夏祭りに使ったと思しきちょうちんなどが置かれていて、やや雑然とした状態でした。

神楽殿の向こうには拝殿があり、すべての社殿が一直線に並んだ配置をしています。

 

拝殿

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拝殿はご覧の通り楼門のような2階建ての造り。なんとなく諏訪大社下社(春宮秋宮)を彷彿とさせるシルエットです。

屋根は銅版葺の切妻、正面には千鳥破風と唐破風がついています。

 

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2階部分の垂木はややまばらですが、1階部分の虹梁の上の龍や木鼻の獅子の彫刻が映えます。

社殿の規模自体はさほど大きくないものの、良い感じに小さくまとまっている印象。
 

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斜め前方の図。1階の直線的な屋根と2階の曲線的な屋根の対比が面白いです。

諏訪大社下社は“拝殿”ではなく“幣拝殿”と呼ぶので、もしかしたらこの拝殿も正しくは幣拝殿と呼ぶべきなのかもしれません。案内板などが一切ないので、どちらの呼称が正しいのかは不明。

 

本殿

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拝殿の裏手に回りこむと本殿があります。

本殿は銅版葺の三間社流造(さんけんしゃ ながれづくり)。前方が板で塞がれてしまっているのが残念ですが、梁の持出しや懸魚、そして脇障子の彫刻が観察できます。

母屋の柱は円柱、向拝の柱は見えないですがたぶん角柱。脇障子の彫刻の立派さから察するに、板で塞がれた空間にある虹梁の周辺には凝った彫刻があるのではないでしょうか。見られないのが残念です。

 

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背面。母屋は4本の円柱で構成されており、柱間は3間、つまり三間社であることが確認できます。

 

ほか、境内には摂社末社がありましたがそちらは割愛。

小規模ながら見栄えのする拝殿はもちろんのこと、本殿も三間社のものがあって意外にも(と言うと失礼に聞こえるかもしれないですが)味わい深い内容でした。万人におすすめできる内容とは言えないですが、神社好きなら楽しめる、わかる人にはわかるといった感じでしょうか。しかし、それだけに本殿の正面が板で隙間なく塞がれて一切見えないのが惜しいです。

 

以上、三神社でした。

(訪問日2019/07/20)