世をひねる

甲信地方(山梨県と長野県)の寺院・神社建築を語る雑記。

【韮崎市】穂見神社中之社(穴山) ~ありきたりだけど個性的な三間社流造~

今回は山梨県のマイナー観光地ということで、韮崎市の穂見神社中之社(ほみ- なかのしゃ?)について。同名の神社が市内にあるため、所在地の"穴山"を付しておきます。

 

山梨県で穂見神社というと、韮崎市旭町にある奥宮が著名です。同名の神社も多数あり、県内では論社として高尾穂見神社(南アルプス市)や当記事で紹介する穂見神社中之社(穴山)があります。

正式な式内社ではなく論社という扱いではありますが、この穴山の穂見神社にも非常に立派な本殿が鎮座しており、神社好きや建築好きならば一見の価値があるかと思います。

 

現地情報

・所在地:

 〒407-0263
 山梨県韮崎市穴山町 1857

・アクセス:

 新府駅から徒歩20分程度

 須玉ICから国道141号線で5分程度

・駐車場:なし

・営業時間:随時

・入場料:無料

・社務所:なし

・滞在時間:10分程度

 

今回は車で訪問したのですが、駐車場がなかったので境内の近くにあったゴミ捨て場の隣の空き地に停めさせてもらいました。この辺りの道はあまり広くない農道なので、路上駐車は周りの迷惑にならないよう注意して下さい。

 

境内 

境内入口

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こちらが穂見神社の入口。水路に落ちないよう注意。

 

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石垣の上には拝殿(?)があります。

ガラス戸のついた拝殿の中には調理器具などが置かれていて、あまりここで参拝する気にはなれないかも...

 

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拝殿の手前には校倉造っぽい宝物殿があります。

 

本殿

拝殿がちょっと微妙な内容なので心配になってきてしまいますが、裏手に回ると非常に立派な本殿が鎮座しています。

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本殿は間口3間、奥行2間。屋根は銅板葺。三間社流造(さんけんしゃ ながれづくり)、軒唐破風(のき からはふ)付きです。宝歴3年(1753年)の造営とのこと。

 

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正面の唐破風部分の軒下。額の字はかなり褪色してしまっていますが、辛うじて「穂見神社」と判読できます。

 

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母屋(身舎)の内部。奥行きは2間ですが、奥のほうの1間だけが内陣になっているようです。

境内入口にあった石碑によると祭神はウカノミタマ(倉稲魂命)、タケミナカタ、スサノオの3柱とのこと。間口がちょうど3間あるので、3柱の神が都合良くぴったりと収まっています。

内陣なので柱は丸柱(円柱)。欄間(?)と内法長押(うちのりなげし)の彫刻が目を引きます。

 

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斜め前から見上げた軒下。

梁と桁は組物によって三手先(みてさき)に持出しされています。

 

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側面の軒下。

神社本殿ですが梁と屋根をつなぐ巨大な蟇股が特徴的。蟇股の股下に彫刻された動物が何なのかは謎。

 

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組物をよく見ると、色の違う木材が混じっています。神社なので木材は全てヒノキ材だと思うのですが、産地の異なるものが混在しているのかも...?

実際、国産のものと較べると海外産(主に台湾)のヒノキ材は経年で黒ずみやすいようです。

 

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側面の床下。

軒下は組物が印象的でしたが、床下は雲のような意匠の木鼻(きはな)が使われています。

また、神社本殿の柱は「床上は円柱だけど床下は八角柱」という例が少なくないですが、この本殿は床下も円柱に成形されています。

 

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背面。脇障子で遮られてしまっていますが、背面にも縁(えん)が巡らされています。

 

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最後に別アングルの全体図を。

三間社流造という様式はありきたりですが、正面が唐破風になっていたり、梁と桁が三手先に持出しされていたりするからか、規模以上に立派に見えます。

そして、床下や背面も省略せずに造っており、非常に手が込んでいる印象です。

 

以上、穂見神社中之社(穴山)でした。

(訪問日2019/06/01)