世をひねる

甲信地方(山梨県と長野県)の寺院・神社建築を語る雑記。

【諏訪市】八劔神社 ~諏訪湖の氷で一年を占う~

今回は長野県の観光地ということで、諏訪市の八劔神社(やつるぎ-)について。

 

この神社は、信州の冬の風物詩といって過言でないでしょう。「御神渡り(おみわたり)」という言葉は、長野県民ならほとんどの人が聞いたことがあると思います。

御神渡りというのは、全面結氷した諏訪湖の湖面に亀裂がはしって筋状にせり上がる現象のことで、この八劔神社は御神渡りから吉凶を占う神事(御渡り神事)を行うことで知られています。年明けの最も冷え込みが厳しい時期になると、県内メディアでは諏訪湖の結氷の様子や御神渡りが発生するかどうかの予想が、毎年恒例の話題になっています。

 

 

現地情報

・所在地:

 〒392-0024
 長野県諏訪市小和田 13-18

・アクセス:

 上諏訪駅から徒歩15分程度

 岡谷ICから国道20号線で25分程度

・駐車場:なし

・営業時間:随時

・入場料:無料

・社務所:あり(要予約)

・滞在時間:10分程度

 

境内 

境内入口

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境内の入口。

案内板には諏訪市無形民俗文化財の“御渡り神事”(みわたりしんじ)の解説がありました。同じく諏訪市文化財の木製狛犬と角力人形(すもう-)、そして武田晴信(信玄)の書状についての解説もありましたが、こちらはいずれも非公開です。

 

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手水舎と神楽殿。

神楽殿の側面には、上諏訪や高島城の古写真が展示されていました。

 

拝殿

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拝殿は銅板葺の入母屋(平入)。正面は千鳥破風、向唐破風付き。

後述するように、この八劔神社は諏訪大社上社の摂社という位置づけです。とはいえ、立派な拝殿があるあたり、摂社としては破格なほどに厚遇されているように見えます。

 

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向拝の軒下。金網で保護された彫刻は、立川専四郎富種の作。立川和四郎(2代目)の次男です。

諏訪地域の神社の見所といえば、やはり豪華な彫刻ですね。

 

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拝殿を斜め後ろから見た図。

後方に切妻の屋根がのびており、屋根がT字状になっています。後方にのびた屋根は“御門屋”(みかどや)と呼ばれ、これは諏訪地域の神社拝殿でたまに見かける構造です。

当ブログで取り上げた例だと、習焼神社(諏訪市)東堀正八幡宮(岡谷市)も拝殿の後方に御門屋がついています。

 

本殿

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拝殿の裏にまわると本殿が2つありますが、こちらは質素な造り。

6年に1度の御柱祭のたびに式年遷宮を行っているようで、解体した本殿はここから徒歩20分くらいの距離にある兒玉石神社に移築しているとのこと。

 

本殿の柱についての考察

兒玉石神社の記事でも書きましたが、本殿の柱はいずれも丸柱(円柱)ではなく角柱です。これは通常だったら神社建築の作法に反するのですが、八劔神社はあくまでも摂社という扱いなので、その格を表すために角柱が使われているのだと推察できます。上社の境内にある摂社・末社を見ても、そのほとんどは角柱だけで造られています。

諏訪大社上社から6kmくらい離れた場所に鎮座し、立派な拝殿のある八劔神社ですが、実は社格としては上社の境内にある摂社とほぼ同じということです。

神社を見るとき、建物の大きさや豪華さだけで判断してはいけないわけですが、八劔神社はその好例と言えるでしょう。

 

以上、八劔神社でした。

(訪問日2019/05/18)

 

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