甲信寺社宝鑑

甲信地方の寺院・神社建築を語る雑記。

【諏訪市】先宮神社

今回は長野県諏訪市の先宮神社(さきのみや-)について。

 

諏訪地域は中山道と甲州街道が合流する要衝で、古くから旅人で賑わった土地です。現在は国道20号線と142号線に役割を譲っていますが、その街道筋は現在でもある程度残されています。今回は下社秋宮(下諏訪町)から旧甲州街道を自転車で走り、上諏訪へ向かっている途中で見つけた先宮神社を紹介いたします。

 

現地情報

所在地 〒392-0001長野県諏訪市大和3-18(地図)
アクセス 上諏訪駅から徒歩15分
岡谷ICから車で20分
駐車場 なし
営業時間 随時
入場料 無料
社務所 あり(要予約)
公式サイト なし
所要時間 5分程度

 

境内

境内入口

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旧甲州街道に乗って下社秋宮を出発し、諏訪市に入ると、石の瑞垣に囲われた神社がありました。現在では先宮神社(さきのみや-)という呼び名になっていますが、資料や時代によっては鷺宮(さぎのみや)とも呼ばれるらしいです。

 

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さっそく境内に入ろうとすると、境内の前には幅30cmくらいの水路が通っていました。橋やフタはありません。ここに橋がかかっていないのには理由があるようです。

 

案内板によると、先宮神社に祀られた土着の神「高光姫命(たかてるひめのみこと)」はタケミナカタに抵抗したものの屈服させられ、境内の外に出ることを禁じられたため、今でも入口の小川(水路)に橋をかけない、とのこと。

「国譲り」でタケミナカタに抵抗したとされる土着神は、洩矢神のほかに手長・足長が居ますが、まだほかにも居たとは知りませんでした。

 

手水舎

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手水舎。このあたりは水源が豊富なので、ちゃんと水が出ています。

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手水舎の虹梁と蟇股。曲線的で柔らかい造形です。

 

拝殿

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拝殿と御神木。境内が小さいので、狭い場所にいろいろと密集しています。

 

本殿

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拝殿の右手から裏へ周りこむと本殿があります。標準的な一間社流造(いっけんしゃ ながれづくり)。

屋根は銅板葺き。柱は丸柱です。

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妻の下の懸魚(げぎょ)にはウサギの彫刻が施されていました。

懸魚のほか、梁や欄間の彫刻や組物など、小さいながらも手が込んでいます。

 

以上、先宮神社でした。

(訪問日2019/06/18)