今回は長野県飯山市の小菅神社(こすげ-)について。
北信地方(長野県北部)というと、杉並木の参道で著名な戸隠神社奥社(とがくし-)や、飯縄山の飯縄大権現(いいづなだいごんげん:高尾山の本尊)は山岳信仰の対象として今でも衰えない人気があります。これらと比べると現在ではマイナーになってしまったものの、戸隠山、飯綱山と肩を並べる“信州三大修験霊場”の一角が小菅山の小菅神社です。
修験霊場、というだけあって奥社までの道のりは険しく、鎖を頼りに岩場を登ったり、小川に足を濡らしながら進む箇所もあったり、滑落のおそれもある崖際を歩いたりします。ちょっとした登山になり、夏季であれば特殊な装備は不要ですが、奥社まで片道1時間程度かかります。
現地情報
所在地 | 〒389-2322長野県飯山市瑞穂内山7103(地図) |
アクセス | 信濃平駅から徒歩1時間程度、または飯山駅からバスを利用 関沢バス停下車 豊田飯山ICから車で25分程度 |
駐車場 | 20台(無料) |
営業時間 | 随時 |
入場料 | 無料 |
社務所 | あり(要予約) |
公式サイト | 小菅神社 【公式サイト】 |
所要時間 | 2.5時間程度(奥社まで往復した場合) |
境内
参拝・拝観はいつでも自由にできますが、豪雪地帯ですので冬季はかなり雪が深く、春先でも残雪があります。ちなみに私は3月下旬に参拝しようとしたところ、膝上くらいの深さまで雪が残っている参道を見て、あきらめて帰った経験があります...
今回は、少し下にある里社に隣接する駐車場に車を置き、奥社への参拝に挑みました。
写真に写っている寄棟のお堂は“講堂”。正面の扉にある覗き窓から中を見てみると、阿弥陀如来の両脇に侍従が控える三尊像がありました。
参道
奥社参道入口の鳥居。
車で乗り入れできるのはここまでで、以降は石段と山道を徒歩で登っていきます。
鳥居の下から参道を眺めると、遠く先まで石段が伸びていて、終わりが全く見えません。ここから奥社までは、ゆっくり行って片道1時間ちょっとくらいです。
参道の石段の様子。
参道の両脇に立つ大木の杉並木は樹齢300年前後とのこと。いかにも修験霊場と行った趣が漂っています。しかも今回は小雨が降ったり止んだりする中での強行軍だったせいもあって、霧がでていて一層いかめしい雰囲気でした。
古い石段のため段が不揃いな上、すり減ってツルツルになった石が雨で濡れていて、足元にはかなり気を使いました。
数百メートルにわたって石段を上り続けると、参道はしばらく平坦になります。
写真は“賽の河原”なる場所で、この手の地名の例外に漏れず、小石が積まれていました。
参道の半分をすぎた辺りにある難所、洗い越し(写真奥)。
危険な個所というわけではないのですが、参道が沢で分断されていて橋もないので、足の長い人でないと靴を濡らさずに通行するのは至難の技です。私は防水処理されていない普通のスニーカーで来たせいで、靴に水が染みてしまいました...
“奥社マデ百米(メートル)”の看板と分岐点に行き当たったら、奥社までもうすぐ。
分岐点は、左へ行くと緩やかな遠回りの迂回路、右へ行くと急斜面の近道ですが鎖場を登ることになります。
今回は、往路は近道、復路は迂回路を選択しました。
近道の途中にある石。“御座石”と言うようです。
この上を歩いて進むのですが、雨のせいで見た目以上に滑ります。
近道を選んだ場合、最大の難所と言っていいのが、こちらの鎖場。鎖をつかんで手繰りながら、だいたい3メートルくらいの高さの崖を登ります。
奥社
難所の鎖場を越えると、ついに奥社が見えてきます。
こちらが小菅神社奥社の左側面。奥社は国指定重要文化財です。
覆いが設けられていて解りにくいですが、骨組みの上に立てられた“懸造”(かけづくり)で、屋根は入母屋です。
奥社の拝所の様子。
賽銭箱は閉め切られた室内にあるようで、戸に開けられた穴に手を入れて賽銭を放り込んだところ、チャリンと小銭が当たる音がしたのでちゃんと賽銭箱に収まったようです。ここまで本降りの雨にならなかったことに感謝しつつ、無事に帰宅できるよう祈願しておきました。
なお、奥社は全体を写真に収められる場所が見つからなかったので、部分的な写真しか撮れませんでした。
以上、小菅神社奥宮でした。
(訪問日2019/05/01)