世をひねる

甲信地方(山梨県と長野県)の寺院・神社建築を語る雑記。

【桐生市】桐生天満宮 ~彫刻で満たされた本殿はややグロし?!~

今回は群馬県の観光地ということで、桐生市の桐生天満宮(きりゅうてんまんぐう)について。

 

群馬県には豪華な社殿を有する神社が多数あり、中には菅原神社(富岡市)八幡八幡神社(高崎市)のように、素晴らしい内容にもかかわらず重文はおろか県宝ですらないものも見受けられます。今回の桐生天満宮も、豪華な社殿がありながら県宝でもなく県重文指定に留まっており、群馬県という土地の文化レベルの高さと恐ろしさを感じさせられます。

 

現地情報

・所在地:

 〒376-0052
 群馬県桐生市天神町1丁目 2-1

・アクセス:

 桐生駅から徒歩30分程度

 太田藪塚ICから県道68号線で30分程度

・駐車場:5台程度(無料)

・営業時間:随時

・入場料:無料

・社務所:あり

 

境内 

 

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駐車場から参道を進んで行くと、石橋と手水舎があり、奥には門と拝殿・本殿が見えます。

 

境内社など

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拝殿・本殿を見る前に、まずは周囲にある社殿から。こちらは神楽殿。

神楽殿というとたいていは白木か丹塗りですが、この神楽殿は黒塗り。規模は小さいですが、なかなか格好良いと思います。

 

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境内裏手にある末社の春日社。2つありますが、桐生天満宮ホームページによると右の社殿が春日社とのこと。なお、両者とも一間社流造(いっけんしゃ ながれづくり)です。

案内板によると1573年~1615年の間の建築で、室町末期の様式を留めているとのこと。桐生市内の建築では最古クラスだそうです。

確かに向拝に海老虹梁や蟇股が無く、組物がシンプルな点は室町風だと思います。しかし正面の扉部分に彫刻があるという点は、あまり室町風ではないような気がします。もしかしたら、この彫刻は江戸中期あたりの後付けの可能性もあるのでは...? なお、これは私の勘による推測ですので、当てにしないで下さい。

 

拝殿・本殿

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続いて拝殿。瓦葺きの入母屋、千鳥破風と向唐破風付き。母屋の柱はいずれも丸柱です。

 

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そしてこちらが拝殿と一体化した本殿です。江戸時代中期の造営。

本殿は流造(ながれづくり)ですが、拝殿(写真左側に見切れている)と本殿(右側)のあいだを切妻の建物で貫くように連結されており、この連結部分を“石の間”と呼びます。石の間を介して拝殿・本殿が連結された様式を“権現造”(ごんげんづくり)と言い、これは神社建築のメジャーな様式の1つです。

権現造の例として著名なものを挙げると、東日本では日光東照宮や妙義神社があります。

 

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本殿部分の側面。

権現造ではありますが、本殿部分だけ見ればやはり流造です。

 

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背面には柱間が3つあるので、これは三間社と言えるでしょう。

 

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本殿左側面。三手先の組物によって梁が大きく持ち出されており、母屋のサイズの割に屋根が高くて大きい印象を受けます。

 

ど派手な彫刻については、よくわからないので解説は控えておきます。ただ一言だけ言っておくとすれば「とにかく圧倒的」といった感じです。

彫刻まみれの社殿についてどのような感想を抱くかは個人の感性次第ですが、私に言わせればこれは少々やりすぎな感があります。あまりにも情報過多で脳が理解を拒んでしまうのか、ややグロテスクに感じなくもないかも。神社の彫刻は派手で目を引くものですが、多ければ良いというものでもないし、彫刻だけが神社建築の美しさではないと思うのです...

苦言が多くなってしまいましたが、見ていてとても楽しい神社でした。室町時代あたりの神社は癒されるものが多いですが、対してこの桐生天満宮は非常にエキサイティングですね。このような社殿を造営する苦労を思うと、やはり群馬の底力の強さを感じられます。

 

以上、桐生天満宮でした。

(訪問日2019/05/02)