今回は山梨県の観光地ということで、新倉浅間神社(あらくらせんげん-)と新倉山浅間公園(あらくらやませんげん-)について。
新倉浅間神社と公園は、五重塔を模した忠霊塔と富士山と桜を一枚の写真に収められることから撮影スポットとして人気があり、近年(2016年ころから)は桜の開花にあわせて縁日も催されるために更に人気上昇している観光地のようです。
今回は桜の開花の1週間前くらいのタイミングで行ったので閑散としていると思ったのですが、朝の08:00頃にもかかわらず境内と公園内は観光客がそれなりの人数居て、良くも悪くも賑やか。観光客の顔ぶれは国内よりも国外が多く見え、中国・アジア系から欧米系まで幅広い人種と言葉が行き交っていました。
この辺の富士山にまつわる観光地というと忍野八海は中国系の観光客でごったがえしていますが、対して新倉浅間公園は国際色豊かな雰囲気だと感じました。
新倉浅間神社へのアクセスは下吉田駅が最寄りで、徒歩10分くらいです。
駐車場は境内の脇に100台分程度あり、無料です。
この日はさくら祭りの1週間前でしたが、朝から交通整理の人が立っており、道が少し狭いですが駐車場へは迷わず行けました。駐車場に仮設の小屋が置かれていたあたり、桜が開花したあたりで駐車料金を徴収するようになるのかも。
参道と鳥居。稚児柱が付いた“両部鳥居”です。
浅間神社はかなり神仏習合の色が強いので、両部鳥居なのも納得がいきます。
額には「三國第一山」とあり、これは各所の浅間神社の額でよく見かける山号(?)です。
境内。手水舎(左)、神楽殿(右)、そして拝殿(中央)がありますが、拝殿が変わった造りをしています。
銅葺きの手水舎。シンプルなように見えますが、虹梁や懸魚などの装飾が施されており、垂木も二重になっています。手水舎の中でも、非常に立派な部類に入るでしょう。
拝殿。拝殿そのものは向拝付きで平入りの入母屋です。しかしその後ろに、高い切り妻屋根がそびえています。
この切り妻屋根は、本殿の覆いと思われます。こんな大きな覆いを設けるあたり、さぞ立派な本殿が中にあるのでしょう。拝殿の脇に回り込んでみたものの、中にあるであろう本殿は全く見えず...
拝殿の向拝の軒下。なぜかここだけ垂木の色が新しいです。
そして私が気になったのは写真の赤枠の中の垂木です。垂木は寺社建築の花形の1つ、言うなれば見せ場のわけですが、この狭い間隔で2回も直行しており、無駄に凝っています。赤枠で囲った部分の垂木はおそらくただの飾りです。ここまでやらなくてもいいだろ...と思ってしまうほどの手の込みよう。
ひとまず、妙に凝った拝殿が見られて満足したので、新倉浅間神社の話は以上になります。
以下は、神社の境内に隣接する新倉浅間公園になります。
きれいな石段がありましたが、そちらは混んでいたのでつづら折れの道を登って行くと、五重塔を模した忠霊塔があります。
明治から昭和にかけての戦没者のために建てられた慰霊塔で、1962(昭和37)年に竣工。高さ19.5mの鉄筋コンクリート造り。上の層ほど小さくなっていて、見上げたときに遠近感が出るデザインです。
注意して頂きたいのは、これは五重塔でこそありますが、仏塔の類ではなく単なる慰霊塔であるということです。古建築に詳しい方や私のような寺社マニアならば、思わず“しょぼい...”と言ってしまいそうな見てくれですが、これはあくまでも慰霊塔なので、仏塔と比較して優劣をつけるのは筋違いなのです!
そしてこのアングルが絶景...と言いたいのですが、あいにくの曇天で富士山は見えず。そして桜も開花していません! まあ、この日は雨降りを覚悟で来たので、降っていないだけ増しでした。
ちなみに、晴れて桜が開花するとこんな感じのようです。いかにもお手本通り、外国人がイメージしがちな日本、といった感に溢れる景色ですね。ここまでベタな景色はなかなかないので、ある意味貴重かもしれません。
忠霊塔(五重塔)の周辺では訪日観光客が喜々として写真撮影に興じていますが、私に言わせればあまり見栄えのしない五重塔でも、彼らにとっては感動的な景色なのかもしれません。知見がないからこそできる楽しみ方もあるのですよね... そんなことを考えさせられました。
以上、新倉浅間神社と新倉山浅間公園でした。
(訪問日2019/03/30)