世をひねる

甲信地方(山梨県と長野県)の寺院・神社建築を語る雑記。

【小諸市】布引観音 ~“牛に引かれて善光寺参り”の悲しい後日談とは~

 今回は小諸市にある布引観音 釈尊寺(ぬのびきかんのん しゃくそんじ)について。

 

他県ではどれだけの知名度があるのか私には分かりませんが、長野県、特に北信では“牛に引かれて善光寺参り”という故事はほとんどの人が知っています。

知らない人のためにストーリーを箇条書きで説明すると

 

・布引観音の近くに住む老婆が洗濯をしていると、風で布が飛ばされた

・そこへ牛が現れ、角に布をひっかけて走り去った

・老婆は牛を追ったが見失い、気づくと善光寺の門前にいた

・牛は仏の化身だったことがわかり、老婆は信心を起こした

・老婆はそれ以来、信心深い性格になった

 

めでたしめでたし、といった感じで、大抵ここでストーリーは終わります。

しかし“牛に引かれて善光寺参り”には、語られざる後日談があるのです。

 

では、前置きもほどほどにして、本題へ入りましょう。

 

布引観音へのアクセスは電車やバスがないので自家用車かタクシーになります。

駐車場は無料で、かなり広いので停められないようなことはないでしょう。

きれいなトイレもあって至れり尽くせりです。

 

駐車場から観音堂までは片道20分ほど。

ちょっとした軽登山になるので運動靴で行きましょう。

 

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山道へ入って行くとこんな注意書きがあります。

さほど危険な個所はなかったですが、入山は自己責任で。

 

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参道は木が鬱蒼と茂り、大岩がごろごろしています。

とはいえ、けっこう人が歩いている様子で、決して歩きにくくはないです。

 

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カニと遭遇しました。

なお、このあとヘビ(たぶんシマヘビ)を踏みそうになりました...

 

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山門が見えたら布引観音はもうすぐ。

観音堂へ行くならこの山門はくぐらず、参道を道なりに進みましょう。

 

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見えてきました。

遠くに見える赤い舞台が観音堂です。

 

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お寺の本堂の前を通り抜けると、こんな横穴があります。

この先へ進むと観音堂へ入れます。

 

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途中にあったお堂。

岩にめり込んでいる...!

 

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そして観音堂に到着。

案内板によると、戦前の国宝だったようです。なお、現在は重要文化財に指定されています。

お堂に安置される観音菩薩は秘仏のようで、拝観はできません。

 

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観音堂から眺めた本堂。

この写真だと観音堂の立地のすごさが伝わりませんね...

 

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そういうわけで、観音堂の遠景をアップで撮った写真も載せておきます。

下の骨組みは岩に引っかけたような感じ。

そして本堂は半分くらい岩にめり込んでいます。

この手の建物って、どうやって木材を搬入したのか気になりますよね...

 

布引観音の紹介は以上になります。

 

 

さて、“牛に引かれて善光寺参り”の後日談ですが、こちらの案内板に書かれています。

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要約すると、

 

・善光寺参りから帰った老婆は信心深い性格になった

・後日、牛に奪われたはずの布が岩山に引っかかっているのを見つけた

・老婆は「あの布を返して下さい」と仏に念じた

・老婆はいつの間にか石になっていた

 

といった内容です。

つまるところ、老婆が善光寺で得た信心は表向きだけのものであり、心根の欲深さは変わっていなかったということでしょう。

 

この結末を知ると、“牛に引かれて善光寺参り”の後日談が語られない理由になんとなく納得が行きます。

この後日談は善光寺の霊験に傷をつけるような内容ですからね...

それにしても石にされてしまうとは、なかなか手厳しい結末です。

 

以上、布引観音と“牛に引かれて善光寺参り”の後日談についてでした。

(訪問日2018/09/07)