甲信寺社宝鑑

甲信地方の寺院・神社建築を語る雑記。

2023-06-01から1ヶ月間の記事一覧

神社本殿の屋根の造り 番外編(例の少ない様式)

今回も寺社建築の基礎知識として、神社本殿の屋根の造りについて。 前編および後編では、流造や権現造など、多くの例がある様式や、普遍的に分布している様式について解説しました。 www.hineriman.work 当記事では、例が極端に少ない特殊な様式を列挙し、解…

【京都市】平野神社

今回は京都府京都市の平野神社(ひらの-)について。 平野神社は北野天満宮の北側の住宅地に鎮座しています。 創建は不明。主祭神の今木神は、当初は平城京に祀られていたようす。詳細な年代は資料によって諸説あるようですが、平安遷都(794年)にともない現在…

【京都市】北野天満宮 その3(東門、地主神社など)

今回も京都府京都市の北野天満宮について。 その1では参道と楼門などについて、 その2では中門や本殿について述べました。 当記事では、東門や地主神社などの境内社について述べます。 東門 境内の東側に出ると、御前通という道路があり、東門が東面していま…

【京都市】北野天満宮 その2(中門、本殿など)

今回も京都府京都市の北野天満宮について。 その1では参道と楼門について述べました。 当記事では中門、本殿などの主要な社殿について述べます。 中門(三光門) 山門から摂社のあいだを通り、境内の中心部へ向かうと中門(ちゅうもん)があります。 中門は、一…

【京都市】北野天満宮 その1(参道と楼門)

今回は京都府京都市の北野天満宮(きたの てんまんぐう)について。 北野天満宮は市北部の住宅地に鎮座しています。 創建は947年(天暦元年)。菅原道真の没後、朝廷によって道真を祀る社殿を建立したのがはじまりです。創建以来、朝廷や武家から篤く崇敬されま…

【京都市】大報恩寺(千本釈迦堂)

今回は京都府京都市の大報恩寺(だいほうおんじ)について。 大報恩寺は市北部の住宅地に鎮座する真言宗智山派の寺院です。山号は瑞応山。通称は千本釈迦堂(せんぼんしゃかどう)。 創建は1221年(承久三年)で、藤原秀衡の孫である僧侶・義空によって開かれました…

【京都市】建勲神社

今回は京都府京都市の建勲神社(たけいさお-、けんくん-)について。 建勲神社は北区の市街地にある船岡山に鎮座しています。 創建は1869年(明治二年)。明治天皇により、織田信長の業績をたたえるために創設されました。当初は東京にある織田信敏(信長の子孫で…

【京都市】大徳寺 後編(仏殿、法堂など)

今回も京都府京都市の大徳寺について。 前編では勅使門や山門について述べました。 当記事では仏殿、法堂などについて述べます。 仏殿(本堂) 山門の後方には、大徳寺の本堂に相当する仏殿が鎮座していますが、訪問時は修理中でした。 建築様式は、桁行3間・梁…

【京都市】大徳寺 前編(勅使門、山門)

今回は京都府京都市の大徳寺(だいとくじ)について。 大徳寺は市北部の住宅地に鎮座する臨済宗大徳寺派の大本山です。山号は龍寶山(竜宝山)。 創建は鎌倉末期で、1315年(正和四年)または1319年(元応元年)とされます。赤松則村(円心)の帰依により、禅僧・宗峰妙…

【京都市】今宮神社 後編(拝殿、本殿、若宮社など)

今回も京都府京都市の今宮神社について。 前編では楼門などについて述べました。 当記事では拝殿、本殿、若宮社などについて述べます。 拝殿、幣殿、本殿 楼門の先には拝殿が鎮座しています。 桁行3間・梁間3間、入母屋、銅板葺。 1694年(元禄七年)造営、1846…

【京都市】今宮神社 前編(楼門など)

今回は京都府京都市の今宮神社(いまみや-)について。 今宮神社は市北部の住宅地に鎮座しています。 創建は1001年(長保三年)、疫病の神を船岡山から遷座し、当地に社殿を造ったのがはじまりです。当社の前身である摂社・疫神社は、平安遷都以前から当地に鎮座…

【京都市】久我神社

今回は京都府京都市の久我神社(くが-)について。 久我神社は市北部の住宅地に鎮座しています。賀茂別雷神社(上賀茂神社)の第八摂社です。 創建は不明。『山城国風土記』の逸文に、当社と思しき記述があるようです。史料上の初見は『三大実録』の859年(貞観元…